日本語で書かれた会計の論文は定期刊行物に収録
され、出版社から公刊されます。公刊前の段階にある草稿、ワーキングペーパーも学術論文に含められ
ることがありますが、日本では、すでに公刊済みの論文が正式の学術論文で、これのみが著者の業績に
カウントされます。
日本において商業的に出版されている会計関係の
定期刊行物は、次の3つが代表的なものです。
1.「会計」(日本会計研究学会の出版物、月刊、森山書店)
2.「企業会計」(月刊、中央経済社)
3.「産業経理」(産業経理協会の出版物、季刊)
会計制度は法令の改正、税制の改正などとかかわ
ることが少なくなく、このため、業界や職業団体の定期刊行物、法律関係の定期刊行物などに会計の学
術論文が掲載されることになりります。次のようなジャーナルがその例です。
1.「会計・監査ジャーナル」(旧「JICPAジャーナル」、月刊、日本公認会計士協会)
2.「季刊 会計基準」(季刊、日本会計基準委員会)
3.「経理旬報」(旬刊、中央経済社)
4.「ジュリスト」(月刊、有斐閣)
5.「商事法務」(旬刊、商事法務研究会)
このほか、税務実務に関連する出版物、国家試験
受験雑誌などが商業出版されており、その中に学術論文が掲載されることもあります。「税経セミナー」、
「税経通信」、「会計人コース」がその例です。しかし、これらの雑誌の論文が使えるのは、ごくまれです。
日本の大学では学部ごとに「研究学会」を設け、
この研究学会が定期刊行物を出版しています。同志社大学の商学部には「同志社大学商学研究学会」が
あり、この学術研究団体かから「同志社大学商学研究」が出版されています。このジャーナルは隔月発
行で、1年の6冊が出されます。内容的には学術目的だけを志向したアカデミックな論文集であり、商
業的な色彩も、教科書的な色彩も薄められているのがふつうです。
「会計」、「企業会計」にような月刊誌は毎月出て
きますし、300を超えると思われる日本国内の大学から会計関係の論文が出版されます。これらの全部を
網羅するのはたいへんな作業になりますが、目次が新聞広告として公表されている例もありますから、い
ろいろなルートを作っておくのがよいでしょう。
日本語のジャールナル論文で困ってしまうことは、
電子ジューナルへの取り組みが遅れていて、インターネット・ベースでは検索できないことです。海外
ではインターネットにおいてジャーナルの目次を検索し、論文本体のPDFファイルを即座にダウンロード
できます。しかし、日本語ではこのような電子ジャーナルはまだ一般的ではありませんので、図書館、
資料室で紙ベースの刊行物を開き、必要な論文をコピーする以外に方法はありません。