会計学関連のジャーナル


 海外の会計専門雑誌


 Journal of Accounting Researchの発刊主体はChicago University, Booth School of Business, Accounting Research Center(創刊時はThe Institute of Professional Accounting)であり、1963年の創刊。2000年までは春秋の2号にSupplement Volumeを添える形で発行されてきたが、2001年より年4回の季刊号に特別号Conference Volumeを付加する年5号体制で運用されている。2010年にWilly社のWilly Online libraryと提携し、インタネットを通じて掲載論文の電子頒布サービスを始めている。 新古典派経済学、シカゴ学派の斬新な金融理論を背景として、Journal of Accounting Researchでは会計学に関連する世界最高水準の学術論文を公刊し、会計研究のフロンティアを切り拓いてきた。効率的市場仮説にもとづいて会計情報の有用性を検証する実証研究は、1960年代後半から1970年代にかけて、このジャーナルを主舞台にして華々しく展開されてきたものである。

 ハイレベルの数式と統計が多用される論文が掲載される傾向が強かったために、会計学の研究者の間では難解なジャーナルとして敬遠される傾向もなくもなかったが、追究されるテーマが高邁であるばかりでなく、関連する学問分野が多数の隣接領域に広く及んでいるのが特徴に1つになっている。会計学というすぐれて実践的な学問を取り扱う関係から、経営戦略論、経営組織論、財務論、マーケティング論、生産管理論、人事管理論などの経営諸科学に直接にかかわってくるのは当然としても、哲学、経済学、法学、言語学、情報学、数理統計学、工学などの基礎科学に深く踏み込んでいる論考が少なくない。

 Willy' Online Library


 いまは盛りの実証会計学(positive accounting theory)を生み出し、育てた会計学の理論的な学術雑誌がJournal of accounting and Economicsであり、Rochester Schoolと呼ばれる会計学派の基幹を支えているのがこのジャーナルである。経済理論を援用して会計現象を叙述的に説明しようとする意図から、ジャーナルのタイトルは会計学Accountingと経済学economicsをandで直結した形になっている。ミクロ経済理論のエージェンシー理論、制度派経済学の取引コスト理論、情報経済学、ゲーム理論などを会計理論に組み入れようとしてきたために、経済学系の異端の会計ジャーナルとみられることも少なくないし、経済理論の実証には統計学が上可欠である関係から、ハイレベルの統計技法が使われるとしてペダンテックなジャーナルとみられることもないわけではない。しかし、経済学、統計学などの最新の理論を応用するこの実証会計学のアプローチは、いまでは会計学研究のメーン・ストリームをなしており、このジャーナルを抜きに、会計学の最新の動向は語りえなくなっている。

 実証会計学の研究のすすめ方には、契約コスト、規制(税制を含む)、市場規律という3つのパスペクティブがあるといわれているが、いずれのパースペクティブであれ、経営者行動のコントロールにフォーカスを合わせる点に変わりがあるわけではない。会計情報を公開するのが経営者であり、その経営者が最適化行動を選択するプロセスにおいて、会計行動が選択されるからである。実証会計学が契約コストのパースペクティブからスタートした経緯から、経験的検証のトピックとしては、所有仮説、経営報酬仮説、業績評価仮説などがよく取り上げられてきたし、財務制限条項など負債契約に関連する実証研究も多い。しかし、最近では、市場規律にかかわる実証分析も増加してきており、市場の競争圧力が経営者行動を導いている実情が解明されつつある。

 インターネット上における論文の頒布はElsevier社を通じて行われている。

 Journal of Accounting and Economics

【つづく】


会計学の研究をうまくすすめるために(旧版)


2010.11.01

OBENET

代表 岡部 孝好

okabe@obenet.jp