会計制度の改革は地球規模で進行していますので、
世界各国において会計基準の刷新がすすめられています。これまで会計基準をもっていなかった発展途
上国においても、新規に会計基準の制定を行われていて、新しい会計基準が生まれています。
これまでの会計基準の制定において指導的役割を
果たしてきたのはアメリカです。アメリカにおいては、証券取引委員会(SEC)
の監督のもとに、財務会計基準審議会(Financial Accounting
Standards Board: FASB)が会計基準の制定を行っています。
他方、ヨーロッパには国際会計基準審議会
(International Accounting Standards Board:IASB)があって、このIASBからは、国際財務報告基準(International
Financial Reporting Standards:IFRSs)が公表されています。以前にはこのIASBは国際会計基準委員会
(international Accounting Standards Committee)と呼ばれていて、国際会計基準(International Accounting Standards:IAS)
の制定にあたっていましたが、2002年に改組され、従来のIASを受け継ぐ形で、いまではIFRSsの制定に
あたっています。
EU域内における統一的な会計基準
の制定を諦め、連結にかぎってではありますが、EUでは2005年より、EU域内のすべての上場会社に国際
会計基準への準拠を求めています。このためヨーロッパの会計基準は、ほぼすべてがIFRSsに統一され
るという結果になりました。
中国をはじめ、東南アジア諸国にはもともと会計
基準が存在していませんでしたが、外国からの直接投資が増えるにともない会計基準に対する需要が急
激に増大してきています。これを受けて、発展途上国では会計基準の制定に着手しましたが、会計基準
の整備は簡単なことではありません。そこで、もっとも手っ取り早いやり方として、国際会計基準を批
准し、それを国内の会計ルールに取り込んでしまいました。このことの結果として、国際会計基準は世界各
国に拡がり、その批准国は100カ国を上回っています。
オーストラリアとカナダは、従来からアメリカ型
の会計基準をもっており、その拡充を図ってきていましたが、最近になって国際会計基準への乗り換え
を決定し、いまでは新しい会計基準の制定作業を中止しています。これに対して、アメリカと日本はそ
れぞれの国内会計基準をもっていて、その拡充を続けていますが、国際会計基準との食い違いも少なく
なく、いまその格差の縮小作業が続けられています。国内の会計基準と国際会計基準との差異を解消し
ようとするこの動きは、コンバーゼンス(convergence)と呼ばれています。
海外の各国には
基準制定主体が多数ありますが、とりあえずFASBとIASBへのリンク
だけを示します。