新しく制定された会計基準の捜し方(解説)


 「会計ビッグバン」という会計制度の刷新運動が 地球規模で進行していて、国際会計基準を中心に、世界各国において会計ルールの書き改めがすすめ られています。このために、新しい会計基準が次々に吐き出され、旧基準に置き換えられています。

 日本もこの会計ビッグバンのただ中にありますの で、いま日本の会計ルールは激しく変化しています。新しい会 計ルールが次々に制定されていき、これに対応して旧会計ルールが通用しなくなってきているのです。 その新しい会計ルールは、いったいどこを捜せば出てくるので しょうか。

 日本の法律は国会で制定されますので、最も基本 的には、日本の会計ルールは国会の立法によるといえます。2006年に発効した会社法には多数の会計 関連規定がありますが、それは国会の立法手続きによって決められたものです。法人税法も国 会の審議を経て決められますので、税務会計ルールの制定主体は国会だといえます。しかし、会社法と か法人税法を別にすれば、新しい日本の会計ルールは、国会で決められるものは少なく、大部分がそれ とは別個の基準制定主体によって決められています。

 日本における会計ルールは、その主要なものが、次 の3つの基準制定主体によって決められています。

1.企業会計審議会(金融庁長官の諮問機関)

2.企業会計基準委員会(社団法人 財務会計基準機構)

3.日本公認会計士協会の委員会

 企業会計審議会は政府の機関に直属していますの で、パブリック・セクターになります。日本公 認会計士協会は民間団体ですので、その中の委員会はプライベート・セクターにあたります。これに 対して、企業会計基準委員会(ASBJ)は両方に跨る第3セクターになります。会計ルールの制定主体は 政府からも民間からも中立の第3セクター方式によるのが世界的潮流ですから、日本でも、会 計ルールの制定はASBJよるケースがほとんどといえます。しかし、企業会計基準委員会(ASBJ)は企業会計の 会計基準にターゲットを絞っており、監査のルールなどは企業会計審議会とか、日本公認会計士協会 の委員会において決められています。

 これら3つの基準制定主体が過去に制定した会計ルール は市販の会計法令集(類規集、規則集などともいう)に、精粗の差はまちまちながら、ともかく収録 されています。しかし、次々と出てくる新しい会計ルールは、市販のどの法令集にも載っていないので す。いずれは市販の法令集に載るとしても、かなり先のことになりますので、ともかくどこかから捜して こないと、当座が凌げないということになります。

 次々と制定される新しい会計ルールは、重要なもので あれば、月刊の専門雑誌(「企業会計」など)に付録として収録されるのがふつうです。このように紙 媒体でタイムリーに速報されるケースでは、図書館や資料室でコピーするだけで、新しい会計ルールを 手に入れることができます。

 しかし、新しい会計ルールへのもっとたしかな近道と して、インターネットがあるのです。上に挙げた3つの基準制定主体はいずれもホームページをもっていて、 その中で新しい会計ルールを掲載しています。ホームページの新基準のコーナーでは、新基準の本文は もとよりとして、その公開草案、審議経過などを公表していますから、背景とか経緯などの詳しい情報 も入手できます。

 以下に示すのは3つの会計ルールの基準制定主体へのリン クです。クリックすると、その中へすすめます。


  金融庁 企業会計審議会

 答申・報告書等(意見書、公開草案、総会議事録・資料)【無料】


日本会計基準委員会(ASBJ)

 企業会計基準、同適用指針、実務対応報告、公開草案、論点整理、討議資料など


日本公認会計士協会(JICPA)各種の委員会報告

 会計制度委員会報告(本文、公開草案、実務指針)

 監査基準委員会報告(本文、公開草案、実務指針)

 監査・保証実務委員会報告(本文、公開草案、実務指針)など

OBENET 代表 岡部 孝好 

okabe@obenet.jp