A Message from Webmaster
to New Version(August 16, 2003)
2003年08月版へのメッセージ
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1995年10月 ラボ開設のご挨拶
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Webmasterからのメッセージのバックナンバー[Backnumber]
◆残暑お見舞い◆
◆知的資源のワークショップ◆ ◆学部4回生のゼミ合宿はキャンプ◆ ◆ひさしぶりのプログラミング◆ ヨーロッパでも北米でも厳しい暑さが伝えられていますが、日本では信じられないほどの涼しい夏になっていて、すごしやすい夏休みを迎えています。梅雨もうやむやのうちに明けましたし、セミの声が聴こえるようになったのも、ごく最近になってからのことです。雨だけ例年の数倍は降った感じですが、農作物に対する影響が心配されるほどの冷夏です。神戸大学では夏休みは工事停電ばかりで、このサイトも再々運休しておりましたが、みなさん、ご機嫌いかがでしょうか。
阪神タイガースは快進撃につぐ快進撃で、本年(の前半)は目を見張るばかりの活躍です。できすぎだ、できすぎだといいながらも、今年ほど気分のいい毎日はありません。甲子園の切符が手に入らないのが唯一の悩みですが、何十年に1回のことですので、これは仕方のないことでしょう。
神戸大学では、学年暦が変わってからというもの、夏休みはないも同然になって、六甲台のオフィスに通う日が多くなっています。大学に出ればヘボ用が待っていますので、夏休みが少しずつ削り取られてしまいます。ですが、何とか元気にやっております。
ナレッジ資源とか知的資産というのは、キャッシュフローを生み出す戦略的資源ですので、R&D活動によってどのタイプの知的資源を、どう創出していくのか、獲得された知的資源をどう囲い込むのか、さらに保有する知的資源をどう活用していくのかなどが、マネジメントにとってきわめて重要な課題になっています。ナレッジ型ビジネスへの移行にともない、「知識を管理する知識」がますますその重要性を高めてきているのは明らかです。これにともない、知的資源の保有状況を市場に向けて公開するディスクロージャーも、切実な課題になってきています。
この知的資源についてのBIワークショップが、6月21日(土)に、六甲台キャンパスの国際協力会議室で開催され、わたしも司会者として参加させていただきました。知的資源の創生と知的財産権の防衛、知的資源の活用と競争優位戦略の展開などと、ダイナミックな議論が飛び交いましたが、他方では、知的資源の価値をどう測定し、ステークホルダーに対してどうディスクローズするかという重要なトピックスも取り上げられました。バリュー・レポーティングなど、斬新な将来的展望も報告されたものの、測定とかディスクロージャーだけにしても、問題の解決は簡単でなく、多くがこれからの課題として残されたままになっています。
会計はモノ、カネの記録システムという考え方はいまも一般的ですが、このBIワークショップで感じたことは、その時代が終わりつつあるのではないか、という点です。いまビジネスを動かしいるのはモノ、カネというよりも、知識、情報などの無形資産です。経済のソフト化を通じて、ビジネスの重点は知的資源にシフトしてきていますが、会計ではその対応がまったくなされていないのです。外部から購入した無形資産だけをオンバランスするというのでは、これからのビジネスをリードできるかどうか疑問です。
学部4回生の夏休みの旅行は、計画が2転、3転したあげくに、岐阜県白川でのキャンプと決まったもようで、何十年ぶりかに、寝袋と枕をもって旅に出ることになりました。山奥にもコンビニがある時代ですので、食べ物にこまる心配はありませんが、テント生活はどのようなものなのでしょうか。記憶がもどってきません。
この冷夏では、天気はとても晴れそうにありませんし、豪雨の心配もあります。しかし、せっかくのチャンスですので、バーべキュ、釣り、テニスを楽しんできます。8月19-20日の予定です。帰ってきたら、そのデジカメ写真を追加します。
日本の上場会社の決算データは有価証券報告書に掲載されていますが、このデータを整理して磁気化したデータベースが、CD-ROMによって販売されています。神戸大学経営学研究科では、かつては日本開発銀行(現日本政策投資銀行)の企業財務データを導入していたことがあります。この開銀の財務データはきわめて学術的価値の高いものですが、このデータベースにアクセスするのが容易でなく、学生はもとより、研究者でもなかなか使いこなせない苦しい状況になっていました。そこで、Visual Basicによってプログラムを書くことを思い立ち、開銀データベースから必要なデータを抜き出すアプリケーションを自前で開発したことがあります。データの切り貼りを助けるアプリケーションであることから、「DataPuller」と命名しましたが、かなり苦労して開発した自慢のソフトであったことはたしかです。捜してみると、その「DataPuller」はいまも残っていて、Windows95の環境のもとであれば、十分に動くことがわかりました。開発したのは、1996年ごろのことですので、かなり昔の話です。
ごく最近になって、同じ上場会社の決算データベースとして、日経NEEDSが導入されましたが、これも巨大なデータベースで、Excelなどでは、とても使えないしろものです。いざ使おうとしても、周辺ソフトが揃っておらず、役に立たないのです。そこで、「DataPuller」を引っ張りだしてきたものの、開銀のデータベースとはフォーマットがまったく異なっており、大幅なコードの書き直しが必要です。そのうえ、「DataPuller」はWindows95の開発思想に準拠していますので、Window98/ME/2000/EPには対処できないところがあります。それなら、ということで、またもやVisual Basicによって、「DataPullerEx (for Nikkei Needs)」の開発に着手することになりました。ここに「Ex」を付加したのは、Extension版で、改良を加えたという意味です。
何年もプログラミングから遠ざかっていましたので、むかしのワザは錆びついてしまい、最初のステップでは、コーディングは大変なことになりました。しかし、マニュアルをめくっているうちに、ノウハウがよみがえってきましたので、作業はかなりすすんできています。この夏休み中には完成しそうですので、秋早々にもベータ版を公開したいと考えています。ご関心ある方にはお渡ししますので、ご期待いただけたらと思っています。
◆MBAスクールのミニプロ発表会◆
◆MBAスクール、待望の大阪サテライト教室◆ 神戸大学MBAスクールでは、グループ研究方式(いわゆるプロジェクト方式)を中心にコースを運営しています。4月入学と同時にミニプロが走り始め、これが半期で終了すると、次はプロジェクト研究です。プロジェクト研究も半期で、これが無事に終了すると、プロジェクト別の演習(ゼミ)にすすみます。6ヶ月のグループ研究を3つつないで、1年半で修了するのが神戸大学MBAスクールの標準コースですが、最後の演習では、各個人が修士論文(専門課程修了論文)を仕上げることを要求されています。
本年2003年の入学生65名は、4月より、13のグループに分かれてミニプロに取り組んできました。共通のテーマは「企業間関係」です。8月2日(土)にその発表会がありましたが、各チームともなかなかの出来映えであり、終日報告を聴いて、まったく飽きることがありませんでした。各チームともとてもよく資料を調べていて、仲間との議論をつくしていますし、パワーポイントによるプレゼンも立派です。「半年で、よくもまぁこれまで」と来賓が感心していましたが、同感です。楽しい夏の1日で、手ごたえみたいなものを感じました。その後は、例によって学生たちとの飲み会でしたが、これもなかなかの盛り上がりでした。
MBAスクールでは、平日夜間の講義を大阪本町で実施していますが、これは臨時の措置で、教室も大阪ガスのご好意で、その研修所を借用させていただいています。大阪に本格的なサテライト教室を持ちたいというのは、長らく抱きつづけた願望ですが、お金のかかることですので、どうしても実現できなかったのです。
ところが、うれしいことに、来年春には、大阪サテライトを開設できるメドがたちました。大阪の中ノ島には、府立の中ノ島図書館があります。この府立図書館にはアネックスの遊休ビルがありますが、これを改装して、社会人ビジネス教育用の教室に充てる計画がまとまってきました。神戸大学MBAスクールでは、その1フロアを借り切り、そこにオフィスと教室を開設します。
学生は70%以上が大阪に勤務していますので、平日夜間の通学はこれでうんと楽になるはずです。このサテライトは、OB、在学生などにも開放される予定なので、研究会の開催なども、便利になります。
◆またもラオスへ◆
◆AAA2003年Hawaii大会へ◆ ◆次回の更新◆ この春は新型の肺炎SARSが暴れて、アジアでは一時、経済活動がダウンするほどの騒ぎになりました。治療の方法がないとすれば、たしかこのコロナウイルスはこわい病気で、次の冬にも、厳戒が必要です。
このSARS騒ぎの最中に、JAICAのプログラムによって、再びビェンチャンのNational University of Laoにおいて、会計学の講義をする計画が持ち上がりました。今回は1ヶ月ということなので、8−9月をめどに、日程調整をはじめましたが、双方とも日程が折り合わず、とりあえず延期ということになっています。しかし、11月にはぜひ、という強い要請を受けていますので、日程のやり繰りをつけて、またもラオスに出張ということになりそうです。昨年の春につづいて、2回目になります。
ラオスへの出張とSARSとはまったく無関係ですが、その交渉の時期がたまたまSARSの流行期と重なったために、家族でも、SARSの影響で出張が延期になったと思っているふしがあります。しかし、いずれにしても結果は同じことですので、これから11月のラオス出張に向けて、講義の準備に取り掛かります。ラオスでの講義は、英語になります。
AAA(American Accounting Association)の2003年大会が、8月3日からワイキキのHilton Hawaiian Villageにおいて開催されました。8月4日の夜に関空を発って、観光客の群れる真夏のホノルルへ飛んでみると、砂浜を洗う太平洋の波と大勢の子供たちが戯れていましたし、沖合いにはおびただしい数のサーファが浮遊しています。ここにはパーム、マンゴ、ネムなど、トロピカルな巨樹がそびえていますし、その木陰にはシダ、バショウ、ハマナスなどが大きな葉を広げています。真紅のブーゲンビリアも印象的で、ワイキキのビーチで磯の匂いを嗅いだだけで、日本から背負ってきた疲れはどこかへ飛んでいってしまいました。
AAA年次大会への出席は、一昨年のアトランタ大会以来のことですが、相変わらずの盛況で、会場は世界各国からの参加者とその家族で、例によって祭りの賑わいです。研究報告ではITに関連するトピックスが引き続き注目を集めていたものの、Eコマース関連のトピックスが目だって減った感じです。しかし、財務会計の分野では、企業改革法(2002年サーベインズ・オックスリー法)とEM(earnings management)に関連する議論はなおも盛んで、プログラムには多数の関連テーマが並んでいました。ビーチの観光とエスニックな食事に気をとられて、出席できた会場はごく限られてしまいましたが、いくつかの有益な研究報告を聴く機会に恵まれ、おおいに勉強になりました。
ハワイ大会では、企業改革法(2002年サーベインズ・オックスリー法)との関連で、“Principles-based approach vs. Rules-based approach” の議論が相変わらず賑やかでしたし、「利益の品質」(earnings quality)をめぐっても、さまざまな検討がなされているのが目立ちました。EMについては、市場の期待に反した場合に生じる「利益に対する驚き」(earnings surprise) が注目を集めていて、それを防ぐための経営者の裁量行動が「分布アプローチ」という、最新の手法で分析されている例が多数ありました。
これらの議論はややテクニカルですので、専門家向けの詳細な報告は「AAA2003年Hawaii大会報告」という別のページにおいて行うことにします。
11月にラオス行きが予定されていますので、できればその前に更新したいと考えています。みなさん、ごきげんよう。
2003.08.16
神戸大学財務会計ラボ
代表 岡部 孝好
Graduate School of Business Administration
okabe@kobe-u.ac.jp
okabe@kobebs.ne.jp