A Message from Webmaster

 to New Version(February 05, 2003)




2003年02月版へのメッセージ



Back Numbers

   1995年10月 ラボ開設のご挨拶  ウエブマスターのプロフィール(Profile Information) [in English]

   Webmasterからのメッセージのバックナンバー[Backnumber]


◆寒波の来襲◆

 ここ数年、暖冬、暖冬といわれてきましたが、ことしの寒さは格別です。お正月に 奥飛騨の温泉にでかけたときも、あやうく、雪に閉じ込められるところ でした[写真]。山にも、里にも、道にも、ひと晩に50CMも雪が積み上がって、 交通機関はずたずたという状況になりました。しかし、スキー愛好者には絶好の雪で、今 年は、たまらない冬になりそうです。これほどの雪をみると、スキーに熱中していたころ を思い出し、うずうずしてきます。

 一年で一番寒い2月は、大学は超繁忙期です。学期末試験、入学試験、論 文審査などで、手帳はもう真っ黒です。しかし、ともかく元気で、あいかわ らずキャンパスを走り回っています。めずらしいことですが、この冬は、ま だ1回も風邪をひいていません。みなさん、ご機嫌いかがでしょうか。

◆アカデミヤ舘が竣工◆

 正門横に7階建ての新ビルが完成し、もう使用を開始しています。正式の名称 は「第1総合研究棟」ですが、略称は「アカデミヤ舘」です。1−3階に は生協が入り、1階の学生食堂、2階のブックショップ、3階の職員食堂 はすでに営業をはじめています。4階と5階は社会人院生用の教室となり ますが、6階と7階には放送大学が入ります。

 崖ふちの高層ビルですので、見晴らしはすばらしく、神戸港はもとよりと して、淡路島、大阪湾、泉南の山々まで見渡せます。

 六甲台図書館の裏側と六甲台グランドの間には、第2総合研究棟が建設さ れる予定で、すでに整地工事がはじまっています。この第2総合研究棟は 10階建てで、4階までは六甲台図書館が入りますが、5−10階は研究室、 会議室などに充てられます。

 完成は本年の秋以降になりそうですが、これも高層ビルですので、六甲台 キャンパスの景観は、大きく変わることになります。樹木など、美観の保 全にはかなり気を使っているものの、やたらとビルが増えると、やはり雰囲 気はかなり違ったものになります。

◆会計学テキストの出版◆

 日本はいま「会計ビッグバン」のさなかにあって、会計ルールが大きく変 貌しつつあります。また会計理論にも斬新な展開があって、かつては専門 家の間だけで議論されていたエージェンシー理論などが、学部のゼミなど でも取り上げられるようになっています。これに加えて、IT革命がすすみ、 会計帳簿の作成もディスクロージャーも、電子のメディアに変換されてし まいました。ここ数年の間に、会計学は、根本的に、変化したのです。

 この新しい動きを取り入れた会計学のテキストを出したいと、かねてより 準備してきました。このほどようやくその原稿がまとまりましたので、いよ いよ出版のステップに入ることになりました。4月の新学期に間に合うかど うかは微妙ですが、できるだけ早くブックショップの店頭に並べたいと思っ ています。書名は「最新会計学のコア」が有力で、版元は森山書店になりま す。

 例によって、やさしく、ていねいに会計学を説き明していますので、だれでも 読めるはずです。専門用語にも、できるだけ詳しい説明をつけておきました。 もうすぐ刷り上りますので、しばらく、お待ちいただきたいと思います。

◆昨年のゼミ忘年会◆

 岡部ゼミ3回生の忘年会のコンパは、クリスマスの夜、曽根崎で行われました。 帰り道で立ち寄ったのがプリクラですが、巨大な写真機の前に並ぶのは、先生にと っては初めての経験です。できばえは、いかがなものでしょうか。

 縫ぐるみを吊り上げるマシンにも挑戦してみましが、これも、お金を取られ ただけです。

◆会計数値のマジック◆

 会計数値を劇的に動かすマジックには、いろいろな手があります。そのなか でも、最近注目を集めているのが、デッド・エクイティ・スワップ(DES)という 手口です。

 会社の負債と株式(持分)とを比べると、会社に対する請求権という点からす ると、元本と利子の弁済が確約されている負債の方が優先性が高く、株式が劣後 に回っています。業務利益の中からの支払いは利子の方が先で、株主への配当 は、利子を支払った後に残るもののなかから(さらに税金を支払った残余のな かから)支払われます。

 それにもかかわらず、破綻に瀕している会社を再建するの目的で、債権者が リスクの少ないはずの債権を放棄し、リスクの高い株式をそれに見合うだけ取得す ることがあります。債権と株式を交換するのです。この取引がデッド・エクイティ ・スワップ(debt equity swap: DES)という方式です。わが国では、「債権の株式 化」ともいわれていますが、マジックの1つとして使われています。

 DESでは、債権者は債権を現物で出資して(手放して)、その代わりに株式を取得 しますので、債務者の会社からみると、負債を免除されて、負債に相応する金額の 出資を受けたことになります。このため、負債が減少する一方で、株主持分(純資 産、資本)が増加しますので、たとえば債務超過の会社においても、株主持分の金 額をマイナスからプラスに変えることが可能です。DESが会社再建のマジックとして、 欧米で広く利用されているのは、この理由によります。

 業績が悪化した会社に対する債権の実質価値はきわめて低く、通常は貸し手の側で 多額の貸倒引当金が設定されています。この低い価値の債権(券面額マイナス貸倒引 当金)によって現物出資を受けたのだとすると、債務者における株主持分の増加額 (払込資本の額)も、実質価値に等しい低価額とみなされます。債権者の側でも、債 権の実質価値を失った見返りに、新たに低価値の株式を取得したとして、債権の実質 価値をそのまま有価証券の取得価額に振り替えることになります。この実質価値主義 によりますと、債務者側では、負債をいったん券面額から実質価値まで切り下げ、債 務免除益をだしたうえで、実質価値による新株発行の手順にすすむ ことになります。

 しかし、債務者では、負債を券面額で評価する額面主義が原則となっていますので、 この方式によると、貸借の契約金額は券面額ですから、この法律上の形式にこだわ るかぎり、債権者が出資した金額は債権の券面額となり、新株への払込みも、券面額 で行われたとみなされます。このために、債務者側では、債務免除益が発生する余地 はなくなりますが、株主持分の増加額(払込資本)も大きくなりますので、それだけ 会社再建の環境も改善されます。減少する負債が大きくなるだけでなく、増資の金額 も高くなるのです。

 問題は、債権者が出資したのは、債権の券面額(額面)なのか、それとも実質価値 (時価)なのかという点です。券面額方式によると、債権者の側では、いったん 貸倒引当金を戻し入れ(実際にも貸倒れは回避できています)、その後に、債権の券 面額をそのまま有価証券の取得価額に振り替えます。この場合に、取得した株式の実 質価値が問題となりますが、もしそれが取得価額よりも低いとすれば、実質価値まで 評価減することが不可欠になります。有価証券(株式)に減損会計が必要になるはずで す。

 券面額による額面主義と実質価値による時価主義とを比較すると、実質優先の原則 を持ち出すまでもなく、時価主義の方が筋が通っているといえます。しかし、判例も 額面主義を支持していますし、実務でも額面主義が広く採用されています。これは、 額面主義による方が、破綻会社を蘇生させる効果が大きいうえに、債権者側において も、債権金額をそのまま株式の取得価額に引き継げば、損失の計上を先送りにできる というメリットがあるからです。含み損の先送りです。

◆次回の更新◆

 菜の花も花もくれんも、まだまだ先のことかもしれません。しかし、春はもうすぐそこ まで、来ているような気がします。次回の更新は、桜のころを予定しています。みな さんお元気で。ご機嫌よう。


2003.02.05

神戸大学財務会計ラボ

岡部 孝好

Graduate School of Business Administration

okabe@kobe-u.ac.jp

okabe@kobebs.ne.jp