A Message from Webmaster to New Version(March 04, 2000)
2000年03月版へのメッセージ
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◆春です!◆
花の春を迎えましたが、ご機嫌いかがでしょうか。目の回るような学期末の混乱
を抜け出てみますと、六甲台にはなま暖かい春の風が吹いていますし、桜もつぼ
みを膨らませています。図書館前の第4学舎の最上階にある岡部研究室からは、
大阪湾が広く見渡せますが、海の色も春のうすみどりに変わっているのがわかり
ます。春うららです。
い
つものアクセス、ありがとうございます。この「財務会計ラボ」においては、昨
年の秋からアクセス数が急激に増えだし、最近では1月に1,000件近くものビジタ
ーを迎えております。嬉しいかぎりで、感激していますが、ともするとアップデ
ートが遅れがちですので、コンテンツのグレードアップに対するプレッシャーも
大いに感じています。今回もアップデートが遅れ、正月明けの更新の予定が、3
月になってしまいました。
◆ネンザはザンネン◆
こ
の正月明けに、テニスコートでぶざまに転倒し、骨折はまぬがれたものの、右足首
を捻挫して、痛い目に遭いました。ヨボついてきているとか、トシを忘れていると
か、手ひどい声をいろいろ耳にしましたが、実際問題として全治3週間、運動厳
禁という結果になり、1月あまりテニスを棒に振りました。その間、コルセットで
固めた足を引きずって六甲台へ通いましたし、手すりとかエレベータとか、ひごろ
なじみのない設備にもずいぶんお世話になりました。一番の苦労は、しばらくの間、
靴を履けなかったことで、真冬の寒風の中を、夏用のサンダルシューズで雪道を歩
くのはたいへんなことでした。しかし、おかげさまでほぼ全面的に快復し、2月末
からテニスコートに復帰しています。コートで足を用心すると、サイドの防衛が甘
くなって、球が脇をすり抜けるケースが増え、これがシャクの種です。テキに弱み
をみせないようには、気をつけてはいるのですが・・・
◆ただいまラボを改修中です◆
こ
の「財務会計ラボ」は震災の年、1995年に開店した老舗で、六甲台では最初のイン
ターネット・サイトです。生まれが古いわけですから、このラボは、当時には斬新であって
も、いまでは古くさくなったコンテンツを多数抱えています。もっとも重大な欠陥は、
リンク先が転居してしまったために、リンクが切れているケースがあることです。
ポータルサイトとして、みなさまのご期待に添うには、大幅は改修が欠かせません
が、そのためにはまとまった時間が必要になります。その時間がなかなかみつから
ないのです。しかし、幸いなことに、ゼミ生の協力がえられることになり、すこし
づつですが、ただいまラボを改修しています。
「日
本の会計ルール」は企業会計原則などの原文を貼ったコーナーで、もっともアクセ
スの多いところですが、このドキュメントは、ゼミ生の宮城直子さんの尽力によっ
て、すでに最新の状態にアップデートされています。アメリカのFASBの動き、
国際会計基準委員会の動きなども急ですが、日本でもつぎつぎに新しい会計ルール
が作られていますので、これからもこの動向を正確にこのコーナーにおいて追跡し
たいと考えています。これに関連して、外国のビジネススクールとか、外国の会計
サイトについても、切れていたリンクを修復しています。
こ
の「財務会計ラボ」では、「データベース」というコーナーを設けて、会計文献デ
ータベースの試作品などを公開してきました。意外とデータベースにデータが溜ま
らないので、問題点をいろいろと検討してみたところ、カイゼンの余地も大きいこ
とがわかってきました。そこで、ソフトの「Microsoft SQL(Ver 6.5)」を入れなお
したうえで、最初にもどって、システムの再構築をはじめています。新しいデータ
ベースも、設計思想はYahoo!とか、eコマースと同じであり、データベースとユー
ザーとのインタラクティブな対話方式によっており、データの入力の主力はセルフ
サービス方式になります。しかし、この方式だけというにも限界があることがはっ
きりしてきましたので、ゼミ生の榊原絢子さんの協力をえて、主要な会計ジャーナ
ルに掲載された論文のタイトルをいま手入力して、データベースの形を整えていま
す。過去5年分ほどの会計文献タイトル情報がデータベースにまとまりましたので、
新学期にも公開することを考えています。
そ
のほかに、新規事業として「会計方法変更データベース」を開発しはじめていま
す。これは会計方針を変更し、限定監査意見を付けられた会社のデータを包括的に
収容するもので、実証会計研究のための基礎データを蓄積するのが狙いです。実証
会計を研究する院生には垂涎のデータベースのなるはずですので、いま入力作業を
急いでいます。公開はこの夏休みになるでしょう。
◆オフキャンパスにインターネット拠点を構築 ◆
経
営学部のスタッフはインターネットを大学の中(オンキャンパス)において激しく
使っていますが、メールの受発信などは自宅でも行わないと、いたって不便です。
また旅行中にもノートパソコンを持ち歩いているわけですので、旅先のホテルなど
においてメールを受発信することもきわめて重要になります。研究者にとって、イ
ンターネットはいまや24時間、日常生活に欠かしえないものになっているのです。
しかし、そのためには、大学の外(オフキャンパス)にも、ネットワークの基地を
おくことが不可欠になります。
事
情は学生にとっても同じです。学生は常時学内にいるわけではなく、自宅、下宿、
合宿先など、学外の生活空間においてインターネットを使っています。メールの受
発信にしても、そのためにわざわざ登校するようでは、そもそもネットワークとし
ての意味をなさないのです。キャンパスから離れたところいて、リモートから大学
と連絡をとることが重要ですが、そのためには、オフキャンパスにインターネット
の拠点をもつことが必要です。
さ
らに卒業生となると、卒業証書を握って「さようなら」といったきり、行方不明に
なります。いずれそれぞれの職場のLANに編入され、インターネットを使うこと
はまちがいないのですが、卒業と同時に、大学のネットワークから追放されてしま
う(学内のネットワーク資源を「学外者」に使わせるのは禁止されている!)ため
に、同じインターネットコミュニティに住んでいるのに、音信不通になってしまう
のです。卒業生を大学のネットワークにつなぎとめておくとすれば、大学の外(オ
フキャンパス)にインターネットの拠点を置く以外に手だてはありません。
オ
フキャンパスのインターネット拠点となるとISP(商用プロバイダー)の利用と
いうことになりますが、ISPは掃いて捨てるほどあるものの、そのサービスには
一長一短があり、使い勝手はもうひとつです。総花的にサービスが羅列されている
だけで、料金も、月1,800円−2,500円と割高です。
こ
れらの点をいろいろ検討した結果、ISPのクボタシステム開発株式会社に対して、
経営学研究科・経営学部のための専用インターネット・サービスを特注し、「神戸
ビジネス・スクール」のサーバーを立ち上げるのがよいという結論になりました。
メール・アドレスは、「KOBE Business School, NEt, JaPan」を略して、
name@kobebs.ne.jp
とし、「name」の部分には、先着順に、申込者ご希望の名前を割り当てています。 使用料は、使いほうだいで、月額¥1,000(卒業生は\1,600)という格安料金であり、 「加入申込書」によって、プロバイダーとの間でそれぞれが個人契約を行います(い ずれオンラインサインアップをはじめます)。接続はダイヤルアップ方式(PHS、 ISDN、CATVからの接続も可能)によっており、パソコンの位置からみて最も近いアク セス・ポイント(市内電話番号)にダイヤルして、インターネットにつなぎます。ア クセス・ポイントは兵庫県南部と近畿地方に重点的に配置されていますが、大都市で あれば、日本中どこにでもあります。3月下旬より申込みを受け付けます。
http://www.kobebs.ne.jp/
この
専用メール・サーバーを利用できるのは、経営学研究科・経営学部のスタッフ、学
生、院生だけですが、現職、在学生だけでなく、OB・OGにも広く解放していま
す。このメール・アドレスは生涯にわたって使えますし、在学時代のゼミのMLな
ども、卒業後にそのまま使用できます。なお、メール転送サービス(2カ所まで)
だけを希望するOB会員は、使用料が年額¥2,400と、大幅に安くなっています。こ
のオフキャンパス・ネットワーク・サービスについての情報は、次に公開されてい
ます。
◆家庭内LAN◆
19
89年ごろだと記憶しますが、「パソコン通信」なるものが突如として出現し、アマ
チュア無線に似た形で、マニアの間にユーザーが急激に拡がっていきました。16ビ
ットの安価なパソコンがが出回り、ようやく日本語処理ができるようになったころ
のことです。そのころの通信手順はTTY方式という古典的なものでしたが、モデムに
よって電話回線の信号を読み替えるという点はいまとまったく同じです。ただ、通
信速度は遅く、最初は300bps でしたが、しだいに1,200bps, 2,400bpsへと引き上げ
られ、9,600bpsとなったときにはその早さに感動した覚えがあります。過去十年の
間に、パソコンもモデムも何回か買い換えましたが、わが家のインターネット環境
はいまでもこの延長線上にあり、19,000bpsのモデムによって、TCP/IPプロトコルに
よってインターネットにつないでいます。ISDNは機器を揃えて接続を準備しました
が、結局のところあきらめました。
そ
のわが家において、CATVを通じて、おそまきながらも家庭内LANを築くこと
になったのです。電話回線のかわりにCATVによってプロバイダー・サービスを
受けますが、速度は意外と遅く2Mbps程度ということです。またDHCPです
ので、IPアドレスは不定であり、これでは細工がしにくいこともたしかです。そ
のわりに、アカウント料は安くなく、月6,000円という重い負担です。しかし、先
送りにしても、さして大きな改善は期待できそうもありませんので、とりあえずC
ATVに1台のパソコンをつなぎ、カテゴリー5のケーブルによって他の2台のパ
ソコンをぶら下げます。Windows 2000 serverには手がでませんので、サーバーのO
Sは手持ちのWindows NT Ver 4.0により、クライアントのOSはWindows 95/98とい
うことになります。まだ動いていませんが、サーバーのメモリーとしては320MBほ
ど積んでいますので、快適なネットワーク環境に移行できるものと、楽しみにして
います。
◆eコマースの急進展◆
パ
ソコン減税が効いたのか、パソコンの国内販売台数が激増しています。これにおう
じてパソコンの価格が急落しており、すごい性能のパソコンなのに、10万円を切る
デスクトップ・パソコンが出回っています。ノート型のパソコンについては、部品
製造に対する台湾の震災の影響がとりざたされており、現段階では、需給の逼迫で
価格はそれほど下がっていません。しかし、ノート型パソコンについても、価格下
落が差し迫っているもようで、この夏までに、10万円そこその値段で買えるように
なるのは確実です。いよいよ、パソコンが文房具の時代を迎えました。
パ
ソコンの販売台数が増えるのにおうじて、インターネットのコミュニティが急膨張
し、日本でもeコマースが本格的に拡がってきています。eコマースはアメリカで
は3―4年かけて、段階的に拡がったものですが、日本では一挙に急展開する見通
しです。クルマ、パソコン、証券はもとより、消費財のほとんどすべての取引(BtoC)
がインターネット上に移るのは確実です。企業間どうしで取引する産業財も、その
取引(BtoB)はインターネットへの切り替えがすすんでいます。ビジネスが様変わり
になってきていますので、目が離せません。
◆動き出したSPC◆
S
PC(Special Purpose Company)というのは、不動産を証券化するために特別に設
立される会社で、不動産をバックとする証券の発行母胎です。このSPCを使った
証券がぞくぞくと市場に現れ、にわかに注目を集めています。
S
PCは有限会社と同じ資本金300万以上の有限責任の会社ですので、比較的小型の会社で
す。そのSPCがたとえば銀行から10億円を借り入れ、この資金で賃貸ビルを1本
買い取ります(このビルは銀行借り入れの担保になっています)。この賃貸ビルには
テナントが入居しており、たとえば毎年0.8億円のネット・キャッシュフロー生み
出します。このネット・キャッシュフローが証券価値の源泉であり、したがって1
本の賃貸ビルはキャッシュフロー創出単位(cash generating unit)といえます。
こ
の状況において、SPCは2種類の社債を販売します。いずれも満期日はたとえば
5年と短く設定しており、したがって満期日の5年先には、賃貸ビルをそのときの
時価で売却し、その売却収入で社債を償還することが予定されています。第1の社
債は優先社債で、たとえば年8%の利率で金利が支払われるうえに、満期日の5年先
には、元本の返済が優先的に行われます。第2の社債は劣後社債であり、たとえば
年10%の高金利が支払われるものの、元本の返済は、優先社債への返済が完了した後
に、残った資金があればその中から行われます。5年先における賃貸ビルの時価が
高いときには、優先社債も劣後社債も元本の全額を返済されますが、賃貸ビルの時
価が下がると、優先社債の元本は返済されても、劣後社債の元本は返済されない可
能性があります。優先社債は低リスクなのに、劣後社債は高リスクなのです。
S
PCが発行する優先社債にも劣後社債にも格付けが付けられますので、それを参考
に機関投資家が優先社債か劣後社債に投資しますが、このときの優先社債と劣後社
債の売り出し価格に将来キャッシュフローの評価、リスクの評価などが反映されて
います。機関投資家が投資をすればSPCに資金が流れ込みますので、SPCでは
この資金で当初の銀行融資10億円を返済して、社債の満期日の5年先まで、賃貸ビルと社債を
厳格に管理します。テナントから家賃を取り立て、社債の利払いを行います。土地
の時価が下がらないとすれば、満期日には賃貸ビルの売却収入により社債が償還さ
れますので、この仕組みによって誰にも不利益はないことになります。1本の賃貸
ビルは優先社債と劣後社債に証券化され、その証券が機関投資家によって売買されて
います。劣後社債には大きなリスクがありますが、このリスクは機関投資家がすすんで
引き受けたものであり、その見返りにハイリターンが約束されています。
こ
れがSPCによる不動産証券化のストーリーですが、会計サイドからはいくつかの
問題点が指摘されています。
(1) SPCを設立するのは賃貸ビルの所有者が多いが、この賃貸ビルの所有 者はSPCへの売却時に固定資産売却益を計上し、その後はしばしば売却資産をリ ースバックしている。これは子会社を使って益だしを行い、リースバックを行うの に等しいから、旧来のセール・アンド・リースバックの焼き直しでしかない。リー ス会計基準では実質優先原則により売却とはみなさない決まりになっているのに、 SPCではこのルールの裏をかいて、利益捻出を行っている。
(2) 新しい連結会計基準では支配力基準によって実質的に支配しているすべ ての子会社を連結の範囲に含めているのに、100%所有の子会社と同じはずのSPC を連結の範囲から除外している。このため、SPCが発行する社債は、旧来の見方 からすると賃貸ビルを担保とする不動産融資と同等なのに、この社債が連結会計に おいて簿外になり、企業グループの負債が過小に表示されている。いい換えれば、 SPCを利用してまたもや「負債隠し」が行われている。
◆次回の更新◆
い
よいよ新学期を迎えます。学部の岡部ゼミでは、15名+1名の卒業生を送り出し、
15名の新3回生を受け入れます。大学院は送り出しがゼロで、受入れが2名+αで
す。年々忙しくなるばかりですが、気分を一新して新学期に臨みたいと思います。
みなさまのご健勝とご活躍を祈ります。次回は5月上旬にお目に掛かります。
2000.03.04
神戸大学財務会計ラボ
岡部 孝好
okabe@kobe-u.ac.jp
okabe@kobebs.ne.jp