連結財務諸表原則注解

               (平成9年6月6日 企業会計審議会)

〔注解1〕重要性の原則の適用について(第二の一及び三)

 連結財務諸表を作成するに当たっては、企業集団の財政状態及び経営成績に関する利害関係者の判断を誤らせない限り、連結の範囲の範囲の決定、持分法の適用範囲の決定、子会社の決算日が連結決算日と異なる場合の仮決算の手続、連結のための個別財務諸表の修正、子会社の資産及び負債の評価、連結調整勘定の処理、未実現損益の消去、連結財務諸表の表示等に関して重要性の原則が適用される。

 

〔注解2〕連結のための個別財務諸表の修正について(第二の二)

 親会社及び子会社の財務諸表が、減価償却の過不足、資産又は負債の過大又は過小計上等により当該会社の財政状態及び経営成績を適正に示していない場合には、連結財務諸表の作成上これを適正に修正して連結決算を行わなければならない。ただし、連結財務諸表に重要な影響を与えないと認められる場合には、修正しないで連結決算を行うことができる。

 

〔注解3〕子会社に該当しない会社について(第三の一の2)

更正会社、整理会社、破産会社であって、かつ、有効な支配従属関係が存在せず組織の一体性を欠くと認められる会社は、子会社に該当しないものとする。

 

〔注解4〕議決権のある株式又は出資の実質的所有について(第三の一の2の(1)、第四の八の2の(1)) 

 議決権のある株式又は出資の所有の名義が役員等会社以外の者となっていても、会社が自己の計算で所有している場合には、当該会社が実質的に所有しているものとする。

 

〔注解5〕支配している一定の事実について(第三の一の2の(2))

他の会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合とは、例えば、次の場合をいう。

  1. 議決権を行使しない株主が存在することにより、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合
  2. 役員、関連会社等の協力的な株主の存在により、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合
  3. 役員若しくは従業員である者又はこれらであった者が、取締役会の構成員の過半数を継続して占めている場合
  4. 重要な財務及び営業の方針決定を支配する契約等が存在する場合

〔注解6〕小規模子会社の連結の範囲からの除外について(第三の一の4)

 子会社であって、その資産、売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の財政状態及び経営成績に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものは、連結の範囲に含めないことができる。

 

〔注解7〕決算日に差異がある場合の取扱いについて(第三の二の2)

 決算日の差異が3か月を超えない場合には、子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行うことができる。ただし、この場合には、決算日が異なることから生ずる連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致について、必要な整理を行うものとする。

 

〔注解8〕子会社の資産及び負債の評価について(第四の二の1)

部分時価評価法を採用している場合であっても、連結計算の結果が著しく相違しない場合には、支配獲得日における時価を基準として、子会社の資産及び負債のうち親会社の持分に相当する部分を一括して評価することができる。

 

〔注解9〕支配獲得日、株式の取得日又は売却日等が子会社の決算日以外の日である場合の取扱いについて(第四の二の1及び2、第四の五)

支配獲得日、株式の取得日又は売却日等が子会社の決算日以外の日である場合には、当該日の前後いずれか近い決算日に支配獲得、株式の取得又は売却等が行われたものとみなして処理することができる。

 

〔注解10〕投資と資本の相殺消去について(第四の三の1)

1 部分時価法によっている場合には、株式の取得日ごとに算定した子会社の資本のうち取得した株式に対応する部分を投資と相殺消去し、株式の取得日後に生じた子会社の剰余金のうち取得した株式に対応する部分は、連結剰余金として処理するものとする。

2 全面時価法によっている場合には、支配獲得日において算定した子会社の資本のうち親会社に帰属する部分を投資と相殺消去し、 支配獲得日後に生じた子会社の剰余金のうち親会社に帰属する部分は、連結剰余金として処理するものとする。

 

〔注解11〕少数株主持分について(第四の四の1)

1 株式の取得日の当該子会社の資本金及び剰余金は、当該日において、株式の持分比率により親会社に属する分と少数株主に属する分とに分割し、前者は親会社の投資勘定と相殺消去され、後者は少数株主持分として処理する。

 

2 株式取得の日後に生じた子会社の剰余金は、株式の持分比率により親会社に属する分と少数株主に属する分とに分割し、前者は連結剰余金として処理し、後者は少数株主持分として処理する。

 

〔注解12〕子会社株式の追加取得について(第四の五の1)

1 部分時価評価法によっている場合には、追加取得持分については、追加取得日における子会社の資産及び負債のうち、追加取得持分に相当する部分を当該日の時価により評価して計算し 、減額する少数株主持分については、子会社の個別貸借対照表上の資本の額に基づき計算するものとする。ただし、評価差額に重要性が乏しい場合には、追加取得持分についても、個別貸借対照表上の資本の額に基づき計算することができる。

2 全面時価評価法によっている場合には、追加取得持分及び減額する少数株主持分は、追加取得日における少数株主持分の額により計算するものとする。

 

 [注解13] 子会社株式の一部売却等について(第四の五の2及び3)

1 売却持分については、親会社の持分のうち売却した株式に対応する部分として計算するものとする。

  増額する少数株主持分については、部分時価評価法によっている場合には、子会社の個別貸借対照表上の資本の額に基づき計算し、売却持分に含まれる評価差額は、それに対応する子会社の資産及び負債と相殺する。全面時価評価法によっている場合には、売却持分と同額とする。

  なお、子会社株式の売却損益の修正として処理する連結調整勘定の償却額は、連結調整勘定の未償却額のうち売却した株式に対応する部分として計算するものとする。

2 子会社の時価発行増資等に伴い生ずる差額の計算については、上記に準じて処理するものとする。

〔注解14〕債権と債務の相殺消去について(第四の六)

1 相殺消去の対象となる債権又は債務には、前払費用、未収収益、前受収益及び未払費用で連結会社相互間の取引に関するものを含むものとする。

 

2 連結会社が振出した手形を他の連結会社が銀行割引した場合には、連結貸借対照表上にこれを借入金に振替えるものとする。

3 引当金のうち、連結会社を対象として引当てられたことが明らかなものは、これを調整する。

4 連結会社が発行した社債で一時所有のものは、相殺消去の対象としないことができる。

〔注解15〕一時差異について(第四の七の2)

1 一時差異には、例えば、次のものがある。

  1. 収益又は費用の帰属年度の相違により生ずる各種連結会社の課税所得の合計額と連結財務諸表上の税金等調整前当期純利益との差額
  2. 子会社の資産及び負債の時価評価により生じた評価差額のうち、課税所得の計算に含まれていないもの

2 将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金等については、一時差異と同様に取り扱うものとする。

〔注解16〕繰延税金について(第四の七の3)

1 繰延税金資産または繰延税金負債の金額は、回収又は支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとし、繰延税金資産については、将来の回収の見込みについて毎期見直しを行わなければならない。

2 重要性が乏しい一時差異については、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができる。

〔注解17〕持分法について(第四の八の1)

1 持分法とは、投資会社が被投資会社の純資産及び損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資の額を連結決算日ごとに修正する方法をいう。

2 持分法を適用に際して被投資会社の財務諸表について、資産及び負債の評価、税効果会計の適用等、原則として、連結子会社の場合と同様の処理を行うものとする。ただし、重要性が乏しいものについては、これらの処理を行わないことができる。

3 持分法の適用は、次の手続きによる。

  1. 投資会社の投資日における投資とこれに対応する被投資会社の資本との間に差額がある場合には、当該差額は投資に含め、連結調整勘定と同様に処理する。
  2. 投資会社は、投資の日以降における被投資会社の利益又は損失のうち投資会社の持分又は負担に見合う額を算定して、投資の額を増額又は減額し、当該増減額を当期純利益の計算に含める。連結調整勘定に相当する部分の償却額は、当該増減額に含める。
  3. 投資の増減額の算定に当たっては、連結会社と持分法適用会社との間の取引に係る未実現損益を消去するための修正を行う。
  4. 被投資会社から配当金を受取った場合には、当該配当金に相当する額を投資の額から減額する。

4 持分法の適用に当たっては、投資会社は、被投資会社の直近の財務諸表を使用する。投資会社と被投資会社の決算日に差異があり、その差異の期間内に重要な取引又は事象が発生しているときには、必要な修正又は注記を行うものとする。

〔注解18〕持分法の適用範囲からの除外について(第四の八の1)

 持分法の適用により、連結財務諸表に重要な影響を与えない場合には、持分法の適用会社としないことができる。

〔注解19〕関連会社に該当しない会社について(第四の八の2)

 更正会社、整理会社、破産会社であって、かつ、当該会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができないと

 認められる会社は、関連会社に該当しないものとする。 

〔注解20〕重要な影響を与えることができる一定の事実について(第四の八の2の(2))

 他の会社の財務及び営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができる一定の事実が認められる場合とは、例えば、他の会社 

 の財務及び営業の方針決定に重要な影響を与える契約が存在する場合等をいう。

〔注解21〕連結貸借対照表の表示方法について(第四の九)

1 連結貸借対照表の科目の分類は、個別財務諸表における科目の分類を基礎としなければならないが、企業集団の財政状態について誤解を生ぜしめない限り、科目を集約して表示することができる。

2 連結調整勘定は、無形固定資産又は固定負債の区分に表示するものとする。なお、連結調整勘定が借方及び貸方の双方に生ずる場合には、これを相殺して記載することができる。

3 自己株式及び子会社が所有する親会社の株式は、資本に対する控除項目として資本の部の末尾に表示するものとする。

〔注解22〕会社相互間取引の相殺消去について(第五の二)

 会社相互間取引が連結会社以外の会社を通じて行われている場合であっても、その取引が実質的に連結会社間の取引であることが明確であるときは、この取引を連結会社間の取引とみなして処理するものとする。

〔注解23〕連結損益計算書及び連結剰余金計算書の表示方法について(第五の四及び第六の二の2)

1 連結損益計算書の科目の分類は、個別財務諸表における科目の分類を基礎としなければならないが、企業集団の経営成績について誤解を生ぜしめない限り、科目を集約して表示することができる。

2 主たる営業として製品又は商品の販売と役務の給付とがある場合には、売上高及び売上原価を製品等の販売に係るものと役務の給付に係るものとに区分して記載するものとする。

3 資産の部に計上された連結調整勘定の当期償却額は、販売費及び一般管理費の区分に表示し、負債の部に計上された連結調整勘定の当期償却額は、営業外収益の区分に表示するものとする。

  持分法による投資損益は、営業外収益又は営業外費用の区分に一括して表示するものとする。

4 連結損益及び剰余金結合計算書を作成する場合には、原則として、次の形式で記載するものとする。

    当期純利益                ×××

    連結剰余金期首残高        ×××

    連結剰余金増加高

                 ×××

                 ××× ×××   

    連結剰余金減少高    

     配当金         ×××

     役員賞与金       ×××  

     資本金         ×××

                 ××× ××× ×××

    連結剰余金期末残高            ×××

〔注解24〕重要な後発事象の注記について(第七の5)

 連結財務諸表には、連結財務諸表を作成する日までに発生した重要な後発事象を注記しなければならない。

 後発事象とは、連結決算日後に発生した事象(連結決算日と異なる決算日の子会社については、当該子会社の決算日後に発生した事

 象)で、次期以後の財務状態及び経営成績に影響を及ぼすものをいう。